Yoshiken Communications

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Study on Combination of Photograhic Films and Developers: About the Film's Character

現在でもまだ多くのモノクロフィルムが製造販売されているが、その特性に応じた分類というものはあまりされていないように思う。ここでは使用したことのないフィルムも含めて、その写りや乳剤タイプに着目して分類をしてみる。トーンについては一般的な現像液を使用したときのものを主観的に分類した。

 

立法粒子フィルム

 ナチュラルトーン系

           KODAK Tri-X

           lford FP4+ HP5+ XP2 PANf

            Rollei RPX 25 100 400

           ADOX Silvermax CHS100II

           Fomapan 100 400

          KENTMERE 100 400

          ORIENTAL New SEAGULL100 400

 ハイコントラスト系

       Rollei Retro 80S 400S Superpan200

                      Infrared 400S ortho25

          ADOX CMS20II  HR-50

平板粒子フィルム

            Fujifilm ACROS

   Fomapan 200

           KODAK Tmax100 400

   Ifford DELTA100 DELTA400 DELTA 3200

 

さてこれらのフィルムの写りについては作例を以って後述されていただくが、現像液との相性という点について少し紹介したい。

まず最初に分類した立法粒子のナチュラルトーンのフィルムだが、Tri-XやNeopan SSなど一般的に広く普及している(していた)フィルムのタイプである。これらはD-76やID-11など、亜硫酸ナトリウム等の粒子を少し溶かす成分が入っているいわゆる微粒子現像液で現像するのが推奨されており、そのためこの組み合わせを使用している人は多い。おそらくモノクロフィルムの写真のイメージとして1番定着しているものだろう。平板粒子に比べると粒子が荒いため、ライカ判で日常的に記録するには微粒子現像液が適しているのだろうと思う。

また立法粒子であるものは古典的現像液であるRodinalとも相性がよく、粒子の荒れはかなり感じるであろうが、その代わりに力強い絵が得られることが多い。筆者は中判フィルムでロジナールにて現像した絵が好みである。粒子の強い現像液で現像をすると粒状性や解像度が悪化するため、大伸ばしには耐え難いと危惧する方も多いだろう。しかしフォーマットサイズを大きくすれば相対的に粒子は小さくなるし、せいぜい11x14までしか引き伸ばさないという方も多いだろう。そうなると粒子が荒くても問題にはなりにくい。デジタルカメラはライカ判のセンサーが定着しつつあるが、フィルムの優位な点としてハーフ判から8x10までフォーマットサイズが幅広いことがあげられる。最後に展示する作品を考えながら、フォーマットサイズやフィルム、現像液などをチョイスしていく作業はフィルムの醍醐味であると思う。筆者もライカ判から4x5までのカメラを使用しているため、これらのバランスについて今後紹介していきたい。

次にハイコントラスト系のフィルムについてである。これらはもともとドキュメントフィルムなどに使用されていたものであり、解像度が高い分コントラストが高い。おそらく粒子のサイズが単分散なのだろう。そのためラチチュードが狭く良好なネガを得ることは少しむずかしいが、ロジナールなどで現像しても粒子は細かくそして硬い。そして露出が適正ならば、とても力強い描写が得られる。筆者は最近Superpan200をSpur社が開発した新しい現像液である「Rollei Supergrain」にて現像してみている。この現像液はいわゆる補正現像液である。詳細はSilversaltさんの記事を一読していただきたい 1)。この現像液を使ってみた感想としては、コントラストが高いフィルムにも関わらず、コマ間の濃度のばらつきが少なくなっており、また階調の広いネガが出来上がる。詳細は作例を以って紹介したい。ADOXのCMS20IIなども通常現像ではとてもコントラストが高いため、専用現像液での現像が推奨されている。このフィルムは解像度が800本/mmととても高く、その特性を期待してしようしている人が多い。

  このようなハイコントラスト系のフィルムはこれまで通常撮影には不向きであり、解像度が高いにも関わらず見向きもされてこなかった。しかしながらこれらのアーカイバルフィルムを通常のピクトリアルフォトのために現像することを可能したのがSpur社であり、現像液を開発することでフィルムのポテンシャルをより発揮できるようになったのである 2)。このことからフィルムと現像液の組み合わせがいかに重要なのかがわかる。しかし現像所でのフィルムの現像はほぼ規格化されてしまったため、アーカイバルフィルムの優れた特性が一般に普及することはなかった。しかし自家現像ならば現像液の選択は自由である。フィルムを愛するならば現像液も一緒に愛していくべきだ。

 最後に新時代の平板粒子フィルムである。従来の立法粒子をカラーフィルムに使用すると、粒状性が良くないとのことから開発され、現在でも主にカラーフィルムに使用されている。モノクロフィルムではACROSやT-maxなどの高性能フィルムに使用されている。平板粒子フィルムの最大の特徴は解像度であることから、主に専用現像液で処理することが多い。筆者はACROSを使用しているため、これについても作例を以って紹介したい。

 さてここまで、現在販売されているフィルムとその一般的な現像液の組み合わせについて紹介してきた。次の回では、様々な現像液について紹介したいと思う。

 

1)

www.silversalt.jp

2)

www.silversalt.jp